長崎県橘湾でカタクチイワシを漁獲している中型まき網船団「天洋丸」です~煮干いりこ、エタリの塩辛、自転車飯の素

higashi

ひがし 第3号 P7 竹下千代太(35回生)

橘湾でイワシを獲っています

 同窓生の皆さん、まき網漁業ってご存じですか? まき網漁業は、魚が光に集まる習性を利用して、光で集めた魚を網で巻き獲る漁法です。私は天洋丸船団でイリコの原料となるカタクチイワシを獲っています。 
 私は東高を卒業後、東京水産大学(現東京海洋大学)に進学し、その後、水産会社に就職しました。漁撈部門、加工食品部門に所属して色々な経験をしてきましたが、「水産業の最前線である漁業現場」で働きたいという気持ちが年々高まり、平成13年4月、家族で南串山にUターンしました。
 家業のまき網漁業に従事し、順風満帆なわけではありません。水産業を取り巻く環境は年々厳しくなっています。イリコの相場が下がり、漁獲量もあまりパッとしない年が続いたため、「帰って来たとば後悔しとっとやろ」と周りから言われることもあります。でも、良質な原料を効率的に漁獲することに力を入れ、なんとか乗り切っています。
 漁業を継続し、将来、生き残っていくために、橘湾を漁場とする同業者で「橘湾まき網漁業いさり火保存会」を立ち上げました。講師を招いての勉強会を中心に、様々な取り組みをしています。そのなかで、私が特に力を入れているのが、漁業後継者の育成です。天洋丸では現在3人が漁師の卵として修行中で、漁師経験年数が短い私自身も、彼らへの指導を通じて勉強しています。
 さらに、小浜、南串山地区の伝統食である「エタリ(カタクチイワシの地方名)の塩辛」に着目し、「エタリの塩辛愛好会」を仲間と発足し、普及および伝承活動を行っています。エタリの塩辛は、イタリアのスローフード協会の「味の箱舟(アルカ)」計画にリストアップされたことから、マスコミにも取り上げられる機会が多く、橘湾産のカタクチイワシのPRにつながればと思っています。地域に根付いた食文化を新たに見直し、次代に伝えていくためにも、原料をしっかり確保できるよう私たち漁師が頑張らなくてはいけません。
 漁師という仕事は本当に奥深く、これでいい、と満足することはありません。そんな仕事に私は誇りを持ち、これからも魚を追い続けていきます。最後になりましたが、同窓生の皆さん、長崎県産の魚をもっとたくさん食べてくださいね。
 天洋丸のホームページ
 http://tenyo-maru.com 
 エタリの塩辛愛好会のホームページ
 http://shiokara.tenyo-maru.com

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