エタリの塩辛
エタリの塩辛とは
エタリとはカタクチイワシの地方名。
エタリの塩辛とは、橘湾で獲れた新鮮なカタクチイワシを塩とあわせ樽に入れ、稲ワラをかぶせて重石をして熟成させた食品です。
昔から、橘湾沿岸の千々石、小浜、南串山の地域では、秋の彼岸前後に漬け込みを行い、冬場の保存食として欠かせないものでした。
(特にサツマイモとの相性がよく、片手にふかし芋、片手に塩辛、で交互に食べていたそうです。)
近年、強い塩気を敬遠して食べる人も作る人も少なくなり、さらに原料が手に入りにくくなったこともあり、このまま食卓から消えてしまいそうになっていました。
しかし、この伝統食を次代まで伝えたい、残したい、という思いが通じ、2005年にスローフード協会国際本部の「味の箱舟」計画に登録されました(国内最初の9品目の一つ)。
- 「味の箱舟」(アルカ)の選定基準
- その生産物が、特別においしいこと。
(この場合のおいしさとは、その土地の習慣や伝統を基準にすること) - その生産物が、ある特定の集団の記憶と結びついたものであり、ある程度の長い年月にわたって、その土地に存在した植動物の種であること。また、その土地の原材料が使われた加工、発酵食品であるか、あるいは、地域外からの原料であっても、その地域の伝統的製法によるものであること。(この場合の記憶や年月は、現地の歴史に照らし合わせて判断する)
- その地域との環境的、社会経済的、歴史的つながりがあること。
- 小さな作り手による、限られた生産量であること。
- 現在、あるいは将来的、消滅の危機に瀕していること。
「味の箱舟」登録を受け、生産者が中心となって「エタリの塩辛愛好会」を発足しました。
エタリの塩辛愛好会では瓶を統一し、販路拡大を狙っています!!
天洋丸の「エタリの塩辛」も愛好会専用かけ紙をつけて販売中です。
エタリの塩辛の作り方
- 水揚げしたばかりの鮮度の良いエタリイワシを海水でよく洗う
- 樽にイワシと塩を入れてまぜる
◎割合は五升がき、一升マスでイワシ五杯に対し塩一杯
(容器にイワシ山盛り、塩はすりきり)
◎最近は六升がきが多く、気温が低ければ七升がき - 好みでコショウ(唐辛子)を刻んで入れる
- 一晩以上置き、水分が上がるのを待つ
- 藁を敷いて石を置く
◎稲藁を用いるほか、むしろを使う場合もある
◎藁を使わなくても塩辛は出来るが、風味が良くなるとされている
◎石は小さな丸い浜石を使う
◎大きい石を用いる場合は、中蓋を置き、均等に重さがかかるようにする - 小屋の隅など涼しい場所に置く
◎直射日光が当たらないようにし、虫が入り込まないよう布をかぶせて巻いたりする - 一ヶ月程度して白い粉(白粉;しらこ)が吹いたら、熟れて食べ頃となる。
ここ数年、9月~10月頃に塩辛を漬けるのに適した大きいサイズのカタクチイワシ(エタリ)が漁獲されません。
12月~2月頃漁獲されたイワシで漬け込むと熟成に二ヶ月~三ヶ月程度を要します。
エタリの塩辛料理レシピ
私もその旨味にはまってしまい、本当に熟成した「エタリの塩辛」は最高に美味しい、と思っています。
皆さんにこの美味しさを知ってもらいたい、とレシピ作成など目下努力中です。
料理の一例
(マウスカーソルを写真の上に移動させると、説明が表示されます)
これは!と思うレシピをお持ちの方、ご協力お願い致します!!